第16回ハートキッズセミナー報告

期日:平成26年10月25日 13:00~16:00
場所:神奈川県立こども医療センター 体育館

報告内容
1.はじめに
2.各ブースからの声
3.アンケート結果
神奈川県立こども医療センター
ハートキッズ応援団
代表:麻生俊英
1.はじめに
 ハートキッズセミナーは、2004年に、手術室の看護師を対象に、こども医療センターの旧循環器病棟で開催したブタ心臓を用いた心臓手術勉強会が発端です。たまたまこの勉強会のことを知った患者さんのお母さん2人から、心臓手術のことを知りたいから是非参加させてくれと懇願されたことから始まりました。熱心な申し入れを断ることができずに参加してもらいました。その勉強会は手術室看護師への教育が目的でしたが、なんと一番熱心に質問したのはわが子が心臓手術を受ける予定のその2人のお母さんでした。看護師向けの勉強会は、患者家族へのより実地に近い形での術前説明の場と変わってしまいました。お二人には数日前にすでに術前説明を終えていましたが、「聞くと見るとでは全く違います!」と異口同音におっしゃいました。私の術前説明が不十分だったのかもしれませんが、人工血管はこんなものだと手にとって触ってもらう、またブタの心臓を実際に縫ってもらうことは、心臓手術を理解していただくうえで百の言葉よりずっと説得力がありました。家族や一般の方々に心臓手術がどんなものであるか知ってもらう近道の方法は、実際に使う器具や材料を手に取って触ってもらい、またブタ心臓を用いで実際に切ったり縫ってもらって心臓手術を体感してもらうことが何より大切だと強く思いました。
 ハートキッズセミナーの目的は、心臓のこどもをもつ家族のためだけではありません。一般の方々にも参加していただいて、普段心臓手術とはかかわりのない方々にも心臓手術がどんなものか興味をもってもらいたいと思っています。先天性心臓病はこども100人に1人の割合で出生しますから、小学校1校に心臓病で手術したこどもが数人はいるはずです。しかし、心臓病は外見からではわかりにくい内部障害ですから、理解されないことも多いかもしれません。心臓病のこどもたちのことを少しでも理解してもらうきっかけになればと考えています。

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2.セミナー報告
 10月25日(土)、第16回ハートキッズセミナーを開催しました。天気にも恵まれ、当日、体育館には241名の参加者が詰めかけ大盛況でした。以下に各ブースの担当者からの簡単なコメントを載せるとともに、こどもたちの様子を写した写真を添えました。そして、最後にアンケート結果を載せました。
1)心臓病のこどもを守る会
 キャンプなど行事の写真を掲示し、守る会で作成したパンフレットや冊子・会報等自由にお持ち帰り頂いたり、手にとってご覧頂ける様設置しました。立ち寄って下さった方の中には、子どもが小さく行事には参加できないという方もいましたが、インターネットにはない医療・教育・社会福祉制度などの情報が得られること、子育てや生活の不安は経験した人から話を聞くと軽減すること、全国組織で50年以上の歴史の中で、守る会の運動で制度が実現していることもあるなどお伝えしました。

お子さんが心臓手術を受けた親御さん(「守る会」会員)の手記*より:
 6歳になった息子は、心臓の話をするようになりました。心臓は、ハサミで切ったのか?痛くなかったのか?など。そんなこともありハートキッズセミナーに行ってみました。スタンプラリーに興味を示し、全てのブースを回って行きました。人工血管のコーナーでは同じものが自分にも入っていることに興味を示したり、手術体験では、曲がっている針を上手く回転させるコツを覚えて、無事に手術が成功、とても楽しかったようです。
※第16回ハートキッズセミナー(こども医療センター心臓手術展)、心臓をまもる.
 2014年12月 神奈川県域支部報324号;pp7-6
2)リラの家
 患児家族滞在施設「リラのいえ」のブースでは、どちらからお越しですか?と声かけをしながらスタンプラリーを楽しんで頂きました。「麻生先生に会いに遠方から来ました、以前私達もリラを利用しました、こんなに大きくなりました、この施設は誰でも利用できますか」と、会話がはずみます。気軽に様々なご家族と触れ合う貴重な機会となり感謝しています。
3)生体のり
 今回は、例年以上にたくさんのこどもたちに参加いただき、フィブリン糊を実際に噴霧して、固まった状態を触ってもらいました。こどもたちや親御様にも実際のオペの動画を見ていただき、臨床での使用方法を見てもらいましたが、実際の臨床映像に、興味深々の様子でした。また、献血の血液から精製したものだということに随分驚いたり、何故血液のように赤くないのかなど素朴な質問がありました。
4)縫合
 縫合ブースは大盛況でした。1度体験したのちに2度目の体験をしにくる熱心なこどもや親御さんが何組もいたのが印象的でした。持針器の扱いに四苦八苦しながらもうまく縫合結節が行えた時の満足な表情に接しこちらもうれしくなりました。「そこはそうじゃない、違う違う!」とこども以上に熱くなった挙句に、お孫さんから「おじいちゃん、うるさいよ~」と言われている微笑ましい場面もありました。我々の会社では様々な施設でキッズ向けのイベントをサポートさせて頂いておりますが、その中でもこども医療センター様のハートキッズセミナーはスタッフの方々が非常に一生懸命準備・運営されており、参加者の満足度も高いイベントであると感じています。
5)人工弁
 機械弁のクイズは、子供たちにはやや難しい内容だったようです。ただヒントを伝えると真剣な眼差しで考えていました。機械弁を手に取り観察し一生懸命考え、分かるまで質問をしてくるこどもたちの強い好奇心に圧倒されました。日常触れることのない分野に興味を抱いてもらいやってよかったと思いました。
6)人工血管
 人工血管や心臓パッチの原料であるPTFEが、身近なところ(フライパンのテフロン加工や防水携帯、衣料など)でも多く使われていることに驚かれていました。フォンタン手術を予定、あるいはすでにされた御家族からは、その径の人工血管をお子様の胸に当てて、記念撮影をされる方が多かったです。最初は体内に入れるものに触れることに恐る恐るでしたが、部位や用途によって形や感触が違うことに驚き興味をもったようでした。
7)ペースメーカ
 ペースメーカーの説明を紙芝居で行いました。こどもたちは、想像以上に真剣に耳を傾けてくれました。また、紙芝居を見てもらいながら本物のペースメーカ本体とリード線を触ってもらうと『これが体に入るんだ!』、『どうやって体に入れるんだろう?』など関心を持ってくれました。家族の皆様もペースメーカという言葉は聞くが実際手に取って触ることは初めてで、リードがどのように植え込まれるのか、日常生活ではどのような注意が必要なのかなど熱心に質問されていました。

8)人工心肺装置
 普段見ることのできない、とても大きな人工心肺装置や心臓カテーテル検査の物品を、実際に見たり触ったりすることで、これから手術を受ける子、既に手術を受けた子やご家族の方が勉強になった、役に立ったといううれしい声が聞かれました。また、ポンプをくるくる回したりして楽しそうに遊んでいるこどもの姿が多くみられ、こちらも元気をもらいました。こどもたちに、臨床工学技士という職業を知ってもらうことができたのも良かったと思います。


9)心臓超音波装置
 当日は暖かかったので、お父様や被験者になっていただいた方たちにはいい気候でした。普段患者さんとして検査される側の子供たちが恐る恐る(普段触ってはいけないと怒られる)プローベを握って先生方と一緒に動いている心臓をみてびっくりしている様子や、にわか先生になったこどもたちを一生懸命嬉しそうにスマホや一眼レフカメラを使って撮影しているお母様の笑顔がとても印象的でした。
10)心臓カテーテル
 バルーンカテーテルとアンプラッツァ(心房中隔欠損閉鎖セット)を展示しましたが、今回は昨年よりも来場者が多く列が出来るほどでした。こどもたちは、バルーン、特にアンプラッツァに興味を示していました。実際に操作しシースの中を進め、先端から出てきたアンプラッツァで心臓模型の心房中隔欠損を塞いでみるという作業が面白くてたまらない様子でした。親御さんたちも、「凄い」とか「こんなに簡単に出来るのだ」と驚かれていました。


11)聴診
 聴診器は見たことはあるけれど、実際に触るのは初めてというこどもたちがほとんどで、体から聞こえる実際の音にとても驚いていました。聴診器で、自分やおともだち、家族の胸の音、おなかの音を聞いてもらい、その音を頼りに臓器が体のどこにあるかパズルを解いてもらいました。難しい問題を友達と協力してほとんどのこどもたちが正解できました。大人と子どもで心音の速さが違うことや、音色が違うことに気付いたこどももいて感心させられました。臓器の位置あてパズルはとても興味をもってくれました。2回、3回と来てくれるリピーターも多く、もっともっと楽しめるよう工夫したいと思いました。
12)AED
 AEDブー スでは、親子連れだけでなく友達同士でも、AED操作体験を行いました。「見たことある。でも、触ったことない。」と、話す初心者から「知ってるよ!前にもここでやったことある」と教えてくれる強者な子どもまで、多くの方に参加してもらいました。恥ずかしそうにしていた子ども達も、いざ始まるとキラキラと真剣な眼差しに。親子で、友達同士で協力してのAED操作体験を終えると、みな自信に満ちた表情で次のブースへと駆けていきました。
13)ブタ心臓手術体験

 ブタの心臓に興味深々のこどもたち、「ブタさん痛くなかったかなあ?」と素朴な質問。「心臓って重い!」と感激。初めて使う持針器。針がつかめない、針が外せない、なかなか厄介。でも、あきらめずに集中して縫っていく。心臓を切って、そしてそれを縫う。2cmしか切らないけど、2cmしか縫わないけれど、初めての経験、そして、それをやり遂げた達成感にこどもも親御さんも大満足。
14)薬剤科

 「おくすりをつくってみよう」をスローガンに、錠剤にみたてたラムネをつぶして粉ぐすりをつくり、シロップ剤にみたてたジュースをメートグラスで測って混ぜる体験をしてもらいました。こどもたちは実際に薬剤師が使う乳鉢や乳棒を使ってとても丁寧にラムネをつぶしていてその横顔はとても真剣でした。お母さんからは今でもこのようにおくすりをつくることがあるんですねと言われたり、微量な粉ぐすりの場合の乳糖の賦形について理解していただける貴重な機会となりました。

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3.アンケート結果:お子さまより



〜感想〜
・楽しかった 7 ・本格的で満足した
・また参加したい 6 ・手術に使う糸が面白かった
・ぶたの心臓がすごかった ・看護師さんの格好がしたかった
・実際に心臓手術ができて嬉しかった 3 ・医療の道に進みたいと思う
・手術は少し怖かった ・参加賞がよかった
・薬を作るのが楽しかった  
・また来たときはじっくりやりたい  
・医者になって人々を助けたい  
・夢は医者になることなのでとても勉強になった  
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